ニコニコ超会議と超パーティーII 2013.4.28 @ 幕張メッセ


ニコニコ超パーティーに誘われた。

YouTubeが広がり始めた頃にその日本語版&オタクっぽい要素として出てきたようなイメージがあったのは昔のこと、気づいたらすっかりネット世界のメインストリームの1つを占めているニコ生、そしてボーカロイドの世界。でも私にとって、ボカロは人工的。(そしてマックで使えない) だからずっと避け続けてきたジャンルだけど、今やCDコーナーでも大半のコーナーを占めているし、コンビニでも普通にオンエアされるほど世間での浸透度は高くなっている。好んで聴きはしないけど、無視出来ない…のではないか。

つまり、なんか盛り上がってるシーンなんだけど、自分には先入観が大きすぎて足を踏み入れたくなかった。その壁を破る良いチャンス、そう思って出かけてみた。

感想は、衝撃だった。

毎日5000番組が放映されているというニコ生のすべて(だいたい)を再現した幕張メッセ。

二日間の来場者は約10万人。年齢層は小学生の子供からおばあちゃんまで際限がない。

巨大なホールに立ち並ぶ無数のブースはラジオ各種生放送、ゲーム、DTM、トークショー、うたってみた動画の作り方、猫を撫でられるもふもふセクション、マリオの土管に入れる(入るとあの土管の音がする)セクション、演奏してみた実写版、踊ってみた人達、鉄道ショー、囲碁・将棋、コスプレ撮影会、アイドル、自衛隊(以下略)…

中央には巨大LEDスクリーンが、会場内の入場客を撮った写真などとそれに対する無数のコメントを映していた。あそうそう、特に生放送などをやっているブースには必ずモニターが用意されていて、お客さんはもちろん、出演者もコメントを確認しながらイベントを楽しむ事ができるようになっている。確かにこれぞニコ生の世界。出かける直前まで、先週観に行ったラウドネスの品川ライヴをタイムシフト試聴して悦に浸っていた私は、その拡大版を体験しているような気分になった。

会場を歩いているだけで、すごいパワーやエネルギーを受ける。
若者たちのエンターテイメントが総て詰まった場所だった。


夕方からは、パーティー…というか、ライヴ。
いきなりオーケストラで始まったのにはびっくりした。全員がユーザーという超ニコニコ管弦楽団、その演奏力が凄まじい。音色が美しい。…で、もちろん弾いているのはボカロ曲やアニソン。知っているメロディーが流れるたびに、会場からどよめきが起こる。おちゃめな要素もたっぷりで、のだめみたいにコントラバスをぐるぐる回したり、仮面を付けながら演奏してみたり。バイオリン・セクションの人達が弓を振り上げながら「えーりん! えーりん!」と煽ってきたのには焦った。いやほんと焦った。

続いて、ガチャポンを弾く人、電話のボタンを押して弾く人、いろいろ登場したけど、口笛を吹いた人の巧さは最高だった。テンポの早い曲も難なく、音も外さずに付いてくる。圧巻としか言い様がない。

そして…初日の昨日は小林幸子が自称ラスボスとして紅白の衣装で現れたというけど、今日は今日で目玉はボカロだった。
息もつかせぬ様々な音楽(ほとんどボカロ曲)がダンスや歌などで披露された後、クライマックスとしてステージに登場したスクリーン。ここでミクはじめボーカロイド達が主役となって踊り、歌う。3D仕様、でいいのかな。横も向くし後ろ姿も見せる。そのクオリティが半端無く高い。人間らしい動作で髪をなびかせ、衣装を揺らしながら、その名曲の数々で7000人の観客を魅了する。衣装の早替えも背景のセットも、スクリーンの中では自由自在。消えたり影絵になったりする事もできる。

この光景から真っ先に思い出すのはマクロスプラス。物語の世界を熱狂に巻き込んだ架空のアイドル、シャロン・アップルも3D映像で動き、飛び回った。この世界では、ミクの形でこんな風に実現したんだな…。

また、ニコ生はやはりコメント機能なくしては語れない。ステージ左右に掲げられたスクリーンには、配信中の動画と共に自宅のパソコンの前から参加している視聴者のコメントが表示され、彼らの声をリアルタイムで聞く…というか見る事ができる。例えばコンサートの最中なら、曲を知らないと書き込んだ人にタイトルやそれにまつわるエピソードが返信されて知識の共有が出来たり、クライマックスでは画面がコメントで埋め尽くされ、いわゆる弾幕状態になったり。それを観てこの曲に対する視聴者のテンションの度合いが分かるというか…とにかく、新しい楽しみ方だ。こんなもん、世界のU-STREAMには存在しない。弾幕とか。弾幕とか。…。

新しいといえば、会場とパソコンの前とのコミュニケーションの取り方だ。ものまねコンテストの際、結果発表が会場のスクリーンに表示できなくなったので、司会者がコメントに優勝者の名前を入れるよう促して結果発表という形にしたり、マイクから音が出てないとかの会場もしくはネットで観てる人達に起こったトラブルを伝えたり、さらには空き時間が長く続いたため会場で「アンコール!」の声が起こり始めたものの、「まだ終わりじゃないよ」「会場落ち着け」といった書き込みが入って観客がおとなしくなる…などなど…。そりゃ私もU-STREAM配信をしたり、閲覧中の生放送に書き込んだりした経験はあるから、この形態が珍しいものではないという事は分かるけど、今回は規模が大きすぎた。

ちなみに、この日の生バンドも凄まじく腕の良いミュージシャンばかり。打ち込みオケの場合は休む事もあるものの、30分は続けたんじゃないかと思われるボカロ・セクションでは、スクリーンの中で華麗に踊るボカロ達を前に休みなく、途切れなく、スタイルの異なる楽曲を演奏し続ける。しかもアップ・テンポな曲ばかり。ミクやルカ達は息切れしないけど、人間は大変です。さっきの口笛といい、人間力の凄さ、何度も思い知らされた。そもそもミクだって、その一挙手一投足は誰か人間によって魂込められたものだしね。

これだけたくさんの人を動かし、楽しませるボカロやニコ生のシーン。安倍首相が訪れ、伊藤園、吉本興業、トヨタ、フジテレビ…等、大手企業がこぞって協賛した今回のイベントは、初日の模様がTV、電車内のモニターなど、至る所で報道された。もはや、紛れも無い日本の文化の1つとして定着している。そのことを肌で感じられて本当に良かった。

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