THE CRIMSON PROJEKCT @ Club Citta' Kawasaki, Kanagawa 2013.3.16



昼間にレコーディングを済ませて(MIDIを使うとまたFirefaceがプチプチ言うんですな。謎。謎。えーん)、春の日差しを浴びながら川崎へ。

前座のアングラガルドは…つかみどころがなかった…。
立ちながら寝ちゃった…ごめんなさい。アルバムを聴かせてもらった時は、良さそうだったんだけどね。


そしてお久しぶりのエイドリアン・ブリュー、トニー・レヴィン、パット・マステロット。それに、トニー&パットのStick Menのバンドからタッチ・ギタリストのマーカス・ロイター、エイドリアンのAdrian Belew Power Trio(以下APT)からジュリー・スリック(b)とトビアス・ラルフ(dr)。この2つのトリオ・バンドが組み合わさった“ダブル・トリオ”編成で、ブリューとトニーのクリムゾン加入31周年を祝うクリムゾン・プロジェクトのライヴが行われた。ほんとは去年やりたかったみたいね…。そりゃ、そうだよね。まあとにかく、ステージに向かって左手にStick Men、右手にAPTという並び方で、中央にトニーとエイドリアンが来る形でがっつり見せてくれました、ダブル・トリオ。自分が衝撃を受けたのがダブル・トリオ期のクリムゾンだったので、どんな形であれこの名前が付いたラインナップを生で観られるのはとても嬉しい。

いきなり「Red」で始まり、大歓声。昨日は「B' Boom」で始まっていまいちだったそうな。そりゃそうだ、マニアックだよ(笑)。ギター・シンセを排除してしまったけどかっこいい「Dinasour」、イントロのドラム・パートが引き延ばされた「Sleepless」(あのキューンっていう効果音がたくさん聴けてたまらなかった)、テンポはゆっくりだったけどやっぱり何度聴いても楽しい「Elephant Talk」…しあわせだなあ〜〜。

トニーのスティックを構えた立ち姿、ブリューのヘッド・ベンドをする姿、パットの右手のスティックの持ち方、なんか相変わらずで本当に嬉しかった。

エイドリアンがバンドを紹介する。「クリムゾン・プロジェクトです。"キング”は置いてきました」

確かに。
ご隠居フリップ。
今頃宮殿でお茶でもすすっていそうだ。


懐かし楽しいレパートリーで早速観客を満足させてくれた6人、今度はトニー、エイドリアン、パットのクリムゾンのメンバーのみで「Three Of A Perfect Pair」を演奏。トニーのコーラスの声が変わってなくて良い。

お次はステージにパットとマーカスが残り、マーカスがマックブックを操作しながらタッチ・ギターでロング・トーンのゆっくりしたコード進行的なものを奏ではじめた。そのコードは間違いなく「B'Boom」。そして、ビル・ブラッフォードの時のようにツイン・ドラムがドコスカ叩きまくり、クレイジーな変拍子の「Thrak」へと突入。左右どちらのトリオも別々の拍子をプレイするので、どっちにノるか悩むところだった。まーこのリフは良いよね、やっぱり。強烈だ。

そしてさらに、Stick Menだけの編成で「Vroom Vroom」。いーね! フリップやブリューのパートもこなせてしまう、タッチ・ギターとスティックという多弦楽器のポテンシャルを見せてくれた。見た目は3人でも、ちゃんと6人分の聴きたいパートを押さえてくれるとやっぱり嬉しい。

片方のトリオが単独で出れば、もう片方もやはり単独で登場。APTがプレイしたのは「Neurotica」。この曲は、たぶん生で観るのは初めて。いいなぁー。ブリューの早口ナレーションの部分は音源が流れたけど、車のサイレン、何かの鳴き声、そういった効果音はちゃんとギターで再現していた。普通はそっちこそ同期音源に頼りそうなものだけど、そこはブリュー。原曲とぴったりにカバーしていて、参りました。

そして再び6人が登場し、「Indiscipline」。ライヴではインプロ要素の多いこの曲、スティックが一貫して1つのリズミカルなリフを繰り返すその背後で、2人のドラマーがそれぞれ別の拍子を刻むという、ぐっちゃぐちゃなのに統制がとれている変な曲…3つぐらいは違う拍子が同時進行していたんじゃないだろうか。わからないけど。とにかく過去最高に訳の分からないヴァージョンだったような気がする。

あっという間に本編が終了…。すぐに戻ってきたエイドリアン、軽く音出しをした瞬間に曲名がわかった。ちょっと不穏なピッチでコーラスの掛かった音でやるのは、「Frame By Frame」しかないでしょ。出だしからポリリズムで有名なこの曲は、1番のバッキングもポリリズム。ポップな声で平然と歌うエイドリアン、そこにシビれる! 憧れるゥッ!

そして、帰り際に「もう1曲?」と問いかけて大歓声を挙げた会場に披露してくれたのは「Thela Hun Ginjeet」。最近知ったんだけど、あの「あいつ銃を手に持ってたんだよ」みたいな語りの部分は、エイドリアンが実際にあったことをスタジオで話したもので、それをフリップが勝手に録音していたらしい。それに気づかないままエイドリアンはしゃべっていたそうなんだけど、Discipline Global Mobileに行って会員になると(ならなくても)分かる通り、フリップは全時代のクリムゾンのライヴ音源を事細かに残している。現在それを1曲ずつダウンロード配信で売っているわけだけど、このメモ魔っていうか記録魔っていうか、とにかく彼はいろんなものを記録している。そのおかげで生まれた曲の1つではないのかな、これも。エイドリアンが話し始めるや否や、あのメガネがキラリと光ってポチッとRECボタンを押したに違いない。

こうして振り返ると、ディシプリン時代の楽曲でうめつくされたセットリストだったけど、やっぱりブリューがやるならこうなる、っていう内容だったかな。「Frakcture」とか「Shoganai」とかじゃないと思うんだよね、こういう精巧なフレーズとか機械声とかロング・トーンの環境音楽とか(笑)は、なんかフリップ寄りな気がするんだよね。あとは、こちらも今回やらなかった「Larks' Toungues In Aspic」とか「21st Century〜」とかも聴きたいんだけど、これもまたエイドリアン・カラーじゃないというか…。

ま、とにかく。進化し続けてきた元祖プログレの、変わらぬ魅力(の1つ)を心ゆくまで堪能できました。
満足、満足!

Comments

Popular posts from this blog

RME FireFace UCX 基本の使い方メモ

いいもんみっけた! バークリー音大が無料で提供している音素材

文字通り、翻訳の原点