楊貴妃&清水 @国立能楽堂 2009/07/08
千葉の柏駅で、友達夫妻と待ち合わせ。5年ぶりだ!! 本当に本当に再会できて良かった。
今日は能の事だけ書いておこ。奥さんを新宿に残して我々ミュージシャンは千駄ヶ谷にある国立能楽堂へ向かった。チケットを取ったのが遅かったので、メインの舞台からはちょっと遠かったけど、出演者が正面舞台へ向かう廊下の側だった上、斜めに椅子が並んでいたので190cmはあるんじゃないかという友達の席の前にはちょうど前の席がなくて座りやすかったみたい。良い事あるもんだ!
まず狂言。清水というお話で、お茶をたてるのにあそこの水が良いから、この秘伝の桶を使って汲んでこい!という命令を受けた太郎冠者が、めんどくさがって「鬼が出たんですぅ〜」と言い訳をし、実際に鬼のふりして主を脅す…というコメディー。能には英語と日本語の字幕があると聞いていたけど、狂言にはなかった! そして開演ぎりぎりだった我々、パンフレットも何ももらってない(汗)。そこでちょびちょび同時通訳をすることに。分からなくても聞いてると思うので、逐一返していくのもアレかと思い、控えめにしたけど…笑いのツボを少し押さえられたぐらいかな(笑)。「煮て喰らおう〜〜、煮て喰らおう〜」とか、「太郎冠者が」とかも訳せば良かった(笑)。
狂言のあとは20分の休憩。長い!(笑) その間に英語の要約が書かれたわら半紙(!)を受け付けてゲットして予習し、肝心の能に入った。内容は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃の魂との悲しい愛の物語。
なーんというか、これがスローで…でもこんな世界、他では見た事ない。笛と太鼓はずっと同じメロディーやリズム、かけ声。違うのはダイナミクスぐらい。そして8人ぐらいの人達によるゆっくりした歌メロが、A=430Hzぐらいだかのピッチを中心に微妙〜〜〜なハーモニーでゆ〜っくりと音楽が進む。
そして能面を付けた楊貴妃の舞。…実は劇中、何度眠気が来たかしれない(笑)。気づいたら座ってたはずの楊貴妃がいつの間にか立ってたり…と、意識が戻るたびに場面が変わっていて焦った(笑)。でも、隣のおばさんも手にしてたプログラムがガサッと音を立てて落ちかけたのを慌てて止める動きが何度も見られたので、私だけじゃないと思っている(笑)。
しかし、ひとたび集中力が戻ると,まるで古い古い昔へ戻ったような気分になった。笛の音が震え、時に甲高く響く。それに合わせ、すり足で動く楊貴妃は音もなくクルリと回転し、扇を広げたりふるわせたり。かと思うと突然、アクセントを付けるようにドン!と床を踏み鳴らす。歌や音楽はまるでインドのラーガのドローンの様にずっと鳴り続ける。音楽のテンポは決して早くならないものの、ダイナミクスは少しずつ増していき、最後の足踏みと鼓の一打ちで総ての音がピタリと止み、張りつめた静けさが訪れた。
音もなく、楊貴妃は退場。廊下舞台を通った時、初めて能面を間近に見た。するとその表情が本当に、本当に哀しそうで、何ともいえない感銘を受けた。
静謐 という言葉が最もふさわしい。そんな劇だった。
終わってから、あのスケール何だったんだろうね、音数的にはペンタトニックだと思うけど何のピッチだろう…でも1個1個のピッチよりもあの感覚が一番強烈だったよね、と話し合った。
その後いろいろ計画はあったけど、結局夜は新宿にとどまった。楽器店で機材を物色して、居酒屋で食べて話して…。
菅野よう子はやっぱり凄い。とか、ブラームスは曲の展開の仕方に長けているんだ、とか、博士号をとった友達の勤勉さと情熱には頭が上がらない。自分の曲を聴くと私は右チャンネルに何が来て、ここの音量バランスが…って事が気になるけど、彼はそんな事はどうでもよくなってしまって、ここはEbだな、そこの音間違ってんな、とか、ハーモニー的な事ばっかり気づく、とか…。やっぱり人には得手不得手があって、協力することでいい音楽が出来るんだよね。
2人が乗り換えられるように一緒に電車に乗って途中まで送って、今日はお開き。本当に、本当に楽しかった〜!
今日は能の事だけ書いておこ。奥さんを新宿に残して我々ミュージシャンは千駄ヶ谷にある国立能楽堂へ向かった。チケットを取ったのが遅かったので、メインの舞台からはちょっと遠かったけど、出演者が正面舞台へ向かう廊下の側だった上、斜めに椅子が並んでいたので190cmはあるんじゃないかという友達の席の前にはちょうど前の席がなくて座りやすかったみたい。良い事あるもんだ!
まず狂言。清水というお話で、お茶をたてるのにあそこの水が良いから、この秘伝の桶を使って汲んでこい!という命令を受けた太郎冠者が、めんどくさがって「鬼が出たんですぅ〜」と言い訳をし、実際に鬼のふりして主を脅す…というコメディー。能には英語と日本語の字幕があると聞いていたけど、狂言にはなかった! そして開演ぎりぎりだった我々、パンフレットも何ももらってない(汗)。そこでちょびちょび同時通訳をすることに。分からなくても聞いてると思うので、逐一返していくのもアレかと思い、控えめにしたけど…笑いのツボを少し押さえられたぐらいかな(笑)。「煮て喰らおう〜〜、煮て喰らおう〜」とか、「太郎冠者が」とかも訳せば良かった(笑)。
狂言のあとは20分の休憩。長い!(笑) その間に英語の要約が書かれたわら半紙(!)を受け付けてゲットして予習し、肝心の能に入った。内容は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃の魂との悲しい愛の物語。
なーんというか、これがスローで…でもこんな世界、他では見た事ない。笛と太鼓はずっと同じメロディーやリズム、かけ声。違うのはダイナミクスぐらい。そして8人ぐらいの人達によるゆっくりした歌メロが、A=430Hzぐらいだかのピッチを中心に微妙〜〜〜なハーモニーでゆ〜っくりと音楽が進む。
そして能面を付けた楊貴妃の舞。…実は劇中、何度眠気が来たかしれない(笑)。気づいたら座ってたはずの楊貴妃がいつの間にか立ってたり…と、意識が戻るたびに場面が変わっていて焦った(笑)。でも、隣のおばさんも手にしてたプログラムがガサッと音を立てて落ちかけたのを慌てて止める動きが何度も見られたので、私だけじゃないと思っている(笑)。
しかし、ひとたび集中力が戻ると,まるで古い古い昔へ戻ったような気分になった。笛の音が震え、時に甲高く響く。それに合わせ、すり足で動く楊貴妃は音もなくクルリと回転し、扇を広げたりふるわせたり。かと思うと突然、アクセントを付けるようにドン!と床を踏み鳴らす。歌や音楽はまるでインドのラーガのドローンの様にずっと鳴り続ける。音楽のテンポは決して早くならないものの、ダイナミクスは少しずつ増していき、最後の足踏みと鼓の一打ちで総ての音がピタリと止み、張りつめた静けさが訪れた。
音もなく、楊貴妃は退場。廊下舞台を通った時、初めて能面を間近に見た。するとその表情が本当に、本当に哀しそうで、何ともいえない感銘を受けた。
静謐 という言葉が最もふさわしい。そんな劇だった。
終わってから、あのスケール何だったんだろうね、音数的にはペンタトニックだと思うけど何のピッチだろう…でも1個1個のピッチよりもあの感覚が一番強烈だったよね、と話し合った。
その後いろいろ計画はあったけど、結局夜は新宿にとどまった。楽器店で機材を物色して、居酒屋で食べて話して…。
菅野よう子はやっぱり凄い。とか、ブラームスは曲の展開の仕方に長けているんだ、とか、博士号をとった友達の勤勉さと情熱には頭が上がらない。自分の曲を聴くと私は右チャンネルに何が来て、ここの音量バランスが…って事が気になるけど、彼はそんな事はどうでもよくなってしまって、ここはEbだな、そこの音間違ってんな、とか、ハーモニー的な事ばっかり気づく、とか…。やっぱり人には得手不得手があって、協力することでいい音楽が出来るんだよね。
2人が乗り換えられるように一緒に電車に乗って途中まで送って、今日はお開き。本当に、本当に楽しかった〜!
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